メンテナンスの頻度を少なくすむように設計されたバッテリーです。 メンテナンスフリー「Maintenance Free」の頭文字をとってMFバッテリーと略して呼ばれる場合もあります。

メンテナンスフリーバッテリーの構造

通常の液式バッテリーの場合、ケース上に記されたUPPER(上)とLOWER(下)のレベルの間に電解液量が収まっていればOKですが、電解液が少なくなっているときは、精製水を補充する必要があります。電解液が少なくなる理由は以下の通りです。

  • 電解液中の水分が電気分解し、酸素と水素になって外部に放出される。
  • 水分が蒸発する

※ 詳しくは 「鉛蓄電池の放電しくみ」 をご覧ください。

MFバッテリーは、水の電気分解を起こりにくくし、また水分の蒸発を防ぐ事で電解液量の減少を少なくし、液補充しなくてもよいような構造をしています。
水の電気分解を起こりにくくするため、極板を通常の鉛イオンの極板ではなく、鉛とカルシウムとの合金極板を使用し、また、水分蒸発を防ぐための加工が施されたキャップを使用しています。
従来型のキャップを使用している場合もありますが、カルシウム合金極板のおかげで、温度環境が苛酷でなければバッテリーの期待寿命年数まで使用できます。

メンテナンスフリーバッテリーの種類

完全密閉型(シールドバッテリーまたはドライバッテリー)

完全に密閉されているため、液を補充する液栓やバッテリー内のガスを排気する排気口もありません。
シールドバッテリーの場合、極板やセパレータに電解液をしみこませたり、電解液をゲル化しているため、バッテリー本体を横置きにする事も可能です(天地をひっくり返しておく事はできません)。

半密閉型(セミシールドバッテリー)

バッテリー内のガスを外へ出す排気口があります。液を補充するような液栓はシート等で蓋がされているため、シートをはずさない限りは密閉状態で、補水の必要はありません。
充電時に発生するガスは排出しますが、水蒸気はバッテリー内で結露させ電解液に戻るしくみになっています。
何らかの理由でシートを剥がした場合は、水分の蒸発を防ぐはたらきが弱くなりますので、補水メンテナンスが必要になります。

「メンテナンスフリー」でも定期的な確認は必要

メンテナンスフリーだからといって、全くメンテナンスの必要がないわけではありません。
これらのバッテリーの多くはバッテリーの寿命を点検するインジケーターが備えられていますので、バッテリー寿命の定期的なチェックは大切です。
また、バッテリーケースにヒビが入っていないかなどの外観的な確認も必要です。


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